先週28日に参議院選挙後の御礼をよしひら敏孝さんと一緒に兵庫7区メンバーで行いました。
たくさんの方からお声かけを頂きました。本当にありがとうございました。
本日は6月定例会での一般質問『ハラスメント対応の課題』についての報告をさせていただきます。
昨年西宮市役所に勤務されている女性の方からご相談がありました。内容は過去にあった上司によるハラスメントについてでした。資料⑤をご覧ください。こちらはその女性が作成したハラスメントに関する時系列です。あくまで、女性の視点で作成された資料であることを申し添えておきます。相談者の女性をA、ハラスメント行為を行ったとされる上司をBと表記しています。

内容を簡単に説明すると
・Aさんは上司のB氏から毎日のようにハラスメント行為を受けていた
・セクハラを理由に異動を希望したが、市は受け入れなかった
・状況が変わらないことから2度目の異動を希望すると、体調不良への配慮がない部署への異動となり、その後体調が悪化し入院することになった
・Aさんはハラスメント研修を受講、自身が受けた行為がハラスメントであることを認識
・B氏への処分を求めることを決断・人事課へ相談、資料や診断書を提出し、聞き取り調査が開始
・審査結果は「昔のこと」「証言の不一致」との理由でB氏は「訓告(注意)」処分となる
・Aさんは調査を行った他の職員の証言に食い違いがあることを確認する
・不信に思ったAさんは情報公開を請求・証言内容について抗議を行うも、市は間違いを認めないまま現在に至る
というものです。
Aさんの話を詳細に確認した結果、市のハラスメント対応にはいくつかの課題があることがわかりました。そこで4点質問を行います。
【質問】1点目は初動対応の不備についてです。
ハラスメントによる最初の異動希望に対応しなかったこと、さらに体調不良にもかかわらず異動先への配慮を怠ったことは、極めて問題だと認識します。ハラスメントなど申請者の救済的な内容に及ぶ異動申請は、4月・10月の定期異動時期に拘らず即時に対応すべきです。また民間(某大学)の対応ではハラスメントの加害者を異動させる対応も確認しています。本人の異動だけでなく加害行為を行う者を異動させる対応も必要だと考えます。申請者の異動希望への対応について、市の考えをお聞かせください。
【総務局長答弁】
「異動希望への対応」についてですが、市では、すべての職員の人格が尊重され、職員の能力を十分に発揮できる働きやすい職場環境づくりを目的に、平成27年4月に、職員に必要とされるハラスメント防止のための責務と心構え等を示したハラスメント全般の防止指針「ハラスメントの防止に向けて」(以下、「指針」と言います)を作成し、ハラスメント相談があった場合にはこの指針に基づいて対応しております。まずは、被害者や加害者、関係者から事情を聞くなど事実関係の確認を行いますが、被害者が緊急の状況にあると認められる場合には、4月並びに10月の定期異動時期に関わらず、緊急避難的に人事異動を実施することも選択肢として考えられます。また、加害事実を確認することができた場合には、加害者側の異動も対応の一つとして想定しています。
【質問】2つ目は調査対応の改善です。
Aさんへの聞き取り調査は市職員2名によって行われました。しかし、Aさんはこの聞き取り調査に強い不信感を抱いていました。第三者の職員への聞き取り調査についても、証言者が話した内容と報告書の内容にいくつもの齟齬があると調査を受けた当事者も証言していると伺っており、証言内容が正しく報告書に反映されていない可能性があると考えます。聞き取り調査については録音を行い、その内容をそのまま文字お越しして、証言者に間違いないことを確認したうえで署名をしたものを報告書とすべきだと考えます。市の考えをお聞かせください。また事前の説明では、令和6年9月より外部調査員による事情聴取の実施を導入したと聞いています。調査方法は被害者が選択できるのか確認しておきます。
【総務局長答弁】
「聞き取り調査」についてですが、第三者である関係者への事情聴取では、相手方に心理的な圧力を与えないよう、これまでは録音しないこととしていましたが、議員ご提案のとおり、正確性を期すために事前に同意を得たうえで録音を実施していきたいと考えております。録音内容を文字に起こした上で対象者に確認を求めることについては、調査結果の確定までに時間を要することや、業務量の増大につながる恐れも考えられますが、正確性、信頼性の確保を目的に、今後検討してまいります。また、これまで事実確認の調査は人事担当課の職員が行っておりましたが、市長事務部局では、令和6年9月より、外部調査員による事情聴取の実施を導入し、被害者側から申し出がある場合や、人事担当課として、外部調査員による聴取が必要と判断した場合に活用しております。
【質問】3つ目は審査体制の改善についてです。
ハラスメントの処分は「職員分限懲戒審査委員会」(以下審査会と呼びます)で審議されます。しかしこの審査会は副市長など市の幹部職員で構成されており、必ずしも客観的な視点で処罰を実施できるとは思えません。中立公平に調査・審査が可能な外部人材数名を審査会にする加えるべきと考えます。市の考えをお聞かせください。また、事前に審査会の内容は録音や議事録などを実施していると聞いております。第三者の請求による録音データの公開は可能なのか、確認しておきます。
【総務局長答弁】
「職員分限懲戒審査委員会」(以下、「委員会」と言います)についてですが、委員会は、両副市長、教育長、上下水道事業管理者、病院事業管理者、消防局長、政策局長、総務局長の8名の委員で構成しており、地方公務員法に規定する懲戒処分や分限処分等の基礎となる事実認定、及び、法の適用について審議する必要がある場合に随時開催しています。委員会では、市が自ら定める「西宮市職員の懲戒処分に関する指針」を踏まえ、懲戒処分や分限処分の是非について検討を行っておりますが、現在の運用においても、法律的知見を有する外部有識者などから意見を聴取することは可能となっております。議員ご提案の外部委員の登用については、費用面の課題や審査に時間が要する恐れも考えられますが、ご指摘の内容を踏まえ、他市の取組みを参考に検討してまいります。また、委員会での内容の記録については、現状の取扱いとして、市長事務部局では、録音を実施の上、概要を議事録として残しております。録音内容の取扱いについては、公開、非公開にかかる判断も含め、市規定に基づき適切に対応してまいります。
【質問】4つ目は不服申し立てについてです。
本市には公平委員会が設置されています。公平委員は3名で、弁護士・団体役員・会社員と外部人材で構成されています。今回の事案について、Aさんが処分の結果を不服として公平委員会へ申し立てを行うことは可能でしょうか?
【総務局長答弁】
「公平委員会への申立て」についてですが、懲戒その他、その意に反すると認める不利益な処分を受けた職員は、地方公務員法第49条の2第1項の規定により、公平委員会に対して審査請求することができます。同項の規定に基づく審査請求は不利益な処分を受けた職員に限られているため、当該職員以外の者からの審査請求はできないこととされています。
1つ目の異動の対応について、答弁では「緊急避難的に人事異動を実施することも選択肢として考えられる、加害者側の異動も対応を想定している」とのことでした。また2つ目の聞き取りに関する課題について「事前に同意を得たうえで録音を実施する、録音内容を文字に起こした上で対象者に確認を求めることについて今後検討していく」との答弁でした。3つ目の外部委員の登用については「他市の取組みを参考に検討する」とのことでした。さらに委員会の録音の公開についても「録音内容の取扱いについては、公開、非公開にかかる判断も含め、市規定に基づき適切に対応していく」との答弁でした。
私の提案に対して、前向きな答弁を頂きありがとうございます。今回のハラスメント対応について重要なことは
・処分の判断に使用する調査内容の正確性・信憑性を担保すること
・委員会で議論された内容がブラックボックス化されないこと
この2点だと考えます。
今回相談を受けた事案については
・聞き取り調査が市職員によって行われたこと
・聞き取りを録音していないため、報告書の正確性・信憑性が確認できないこと
・委員会に第三者の視点が取り入れられていないこと
となっていることから、処罰の妥当性に疑いを抱かれている結果となっています。委員会のメンバーは答弁にもあるように、副市長をはじめ8人全員が市の人事権を有する管理職で構成されています。信憑性に疑いのある報告書を元に、客観的に処分の判断を行えたのか疑われても仕方がないと考えます。先程ご答弁いただいた内容を着実に進めていただき、ハラスメント対応の質向上に努めるよう要望します。
今回の一般質問では、あくまで仕組みの課題についてご指摘をさせていただきましたが、相談者Aさんの心の傷が癒えることはありません。一般的な裁判では判決に不服があれば、訴えた者、訴えられた者双方に上告する権利があります。4つ目の質問で明らかになったことは、Aさんが処分の内容に不服を抱いてもそれを訴える手段がないという事実です。私も総務省や内閣府へ確認を行いましたが、やはり先程の答弁と同じ結果でした。以前、人事課へハラスメントの相談件数を伺ったところ、令和元年から令和5年までの5年間の合計は31件、懲戒処分に至った案件は0という結果でした。ハラスメントは基本的に権力や立場の強い人が弱い人に行うものだと理解しています。この件にとどまらず、ひょっとしたら他にも苦しんでいる職員がいるかもしれません。
市長に再質問です。市のトップとして、ハラスメント行為は決して許してはいけないという強い姿勢を示すべきだと思います。市長のお考えをお聞かせください。
【石井市長】
ハラスメントは個人の人格、そして尊厳を傷つけるものでありますし、職場環境を悪化させるというようなことで、決して許されるものではないと思っております。(中略)、様々な研修やそうしたことを学びながら、そして、その上で職員が互いに尊重し合い、ハラスメントをしない、させない、許さない、こうした安全な職場環境をつくっていくというのは当然のことでありますし、その取組を一層強めてまいりたいと思っております。
相談件数には教育委員会・上下水道・中央病院は含まれていません。これらの部署についても、同様に今回の指摘を踏まえご対応頂きたいと思います。特に秦次長、質問はしませんが、私の意図はご理解頂いていると思います。学校の先生が起こした事案に対する処分への対処など、必要に応じて課題の洗い出しや見直しを図るよう重ねてお願い致します。これで日本維新の会 浜口ひとしの一般質問を終わります。

