暑い日が続きますね。7月22日から活動した朝の駅立ちも残り5か所となりました。また定期的に行っているポスティング約1万枚はお盆期間中に終了。夏の活動はとてもハードですが、引き続き頑張って参ります。
ブログをリニューアルしました。移行作業に時間を要したため、久しぶりの投稿になります。今日は2024年6月定例会のご報告です。今回から一般質問は会派8人全員が登壇することになりました。これまでは1人あたりの一般質問に使える所要時間は約52分でしたが、今回から約26分となります。その為、取り上げる項目が少なくなります。今回の一般質問では、「38年後の公共施設ビジョンについて」を質問しました。
昨年12月定例会に公共施設の縮減に関する質問を行いましたが、市は「長期目標の達成に向けて、より縮減効果をあげることは必要なこと」との答弁がありました。令和44年度までの長期目標である20%以上の縮減が、成し遂げなければならない重要な取り組みという認識は共有出来ていると感じています。しかし私は、この先どのように縮減を行っていくのか具体的な手法と、この縮減を計画通りに進めた時に将来西宮市がどんな街になっているのかというビジョンが見えないと感じたことから、今回この質問を取り上げさせて頂きました。
西宮市公共施設等総合管理計画では令和44年、つまり今から38年後に公共施設の総延床面積が目標の20%以上削減されることがいったんのゴールとなります。令和44年度の目標となっている施設総量20%縮減の達成に必要な総延床面積は、令和14年度までの縮減見込みとなっている5.22万㎡を除いた26.78万㎡です。この縮減を目指すにあたり、住宅施設においては管理戸数を7000戸まで縮減した場合の延床面積として約15.74万㎡、学校施設においては学校施設長寿命化計画における想定として約6.8万㎡となっており、それらを差し引いた約4.24万㎡がその他の公共施設縮減の目安となっています。この数字だけでは削減する規模がどれくらいなのかピンとこない方も多いかと思いますので資料①にわかりやすくまとめてみました。例えば住宅施設の場合、令和3年10月1日時点で住宅の戸数が9,126⼾となっていますので、将来的に2000戸以上を減らしていくこととなります。5階建て市営住宅1棟あたり標準で30戸と仮定すると、約71棟分の縮減となります。学校施設の場合、小・中学校1校あたりの延床面積の平均が約8000㎡となっていることから、およそ8校分の延床面積を縮減することになります。住宅と学校以外の施設については、わかりやすく一般的な大きさの市民体育館に例えると約53個分の縮減となります。このように改めて目標を見ると、大変大きな延床面積を削減しなければ達成できないことがお分かりいただけると思います。
加えて、前回12月定例会で14年度までを目標とする公共施設縮減の進捗状況を確認した際、結果的に面積が増加した公共施設がいくつかあり、その総延床面積は6.15万㎡でした。今後も新たに新設される又は面積が増える公共施設が計画として上がってくる可能性も否定は出来ません。その分を考慮に入れれば、縮減目標20%以上の達成へのハードルは更に上がることとなります。公共施設の縮減はより高い効果を持って取り組むべきです。
延床面積を減らす効果的な方法として、学校施設の複合化があります。学校施設に集会施設・児童館・図書館・支所機能など、市民に関わりの深い様々な行政サービスを提供する施設を併設することで、延床面積や建設コストを縮減できます。また昨年提案した小・中学校の施設統合も同様です。そして何より効果が高いのは施設そのものを廃止することです。これらの手法を駆使して初めて、20%以上という縮減目標は達成出来ます。これだけの公共施設を将来的に縮減する訳ですから、38年後の公共施設のあり方は大きく様変わりしていることは必至です。しかしながら、現時点ではその進め方や将来的なビジョンは全く示されていません。以上の内容を踏まえ、以下2点質問しました。
【質問1】計画通り公共施設を20%以上縮減した結果、38年後の西宮市全体の公共施設の配置はどうなっているのか?将来的なビジョンや具体的な手法についてお聞かせ下さい。なお、学校施設については教育委員会からご回答ください。
【政策局長答弁】 「38年後の公共施設ビジョンについて」のご質問のうち、まず、学校施設以外についてお答えいたします。 現在、財政構造改善の取組みの1つとして、生涯学習関連・社会教育・文化等施策を行う施設の集約化や、 公民館・市民館・共同利用施設の再編、幼児教育・保育のあり方に基づく公立幼稚園・保育所の再編などを掲げており、各事業の見直しの中で、施設総量の縮減につなげていくこととしております。 他の公共施設についても、改築時においては、学校施設を含めた周辺施設との統合や複合化を含め慎重に検討してまいります。 38年後のビジョンを一言で語るのは困難ですが、今の取組を進めて行くことで、将来を見据えた施設の適正配置に繋げてまいりたいと考えています。
【質問2】今後改築を予定している大社中学校について、最近行われた学校運営協議会での説明資料には神原小学校との統合や複合化の話は一切記載されていなかった。当該施設での小・中学校の施設統合や複合化は実施しないという認識で良いのか?
【教育委員会次長答弁】西宮市全体の公共施設のビジョンに向けて、学校施設において、具体的にどのような手法で進めていくかについて、お答えいたします。 現在、 「西宮市学校施設長寿命化計画」 の見直し作業を進めておりますが、当初の計画通りに事業を進めた場合、建築資材や人件費などの高騰により、当初の想定よりも 約1.5倍の経費を要すると 見込んでいます。 なお、約1.5倍の経費は令和5年度の単価で積算しており、今後も物価等が上昇した場合にはそれ以上の経費が必要となるため、施設整備費の高騰は大きな課題であると認識しています。このため、計画の見直しのなかで、中規模改修工事の導入を予定しておりますが、将来的には改築の経費が大幅に上昇するため、長期的な観点では、導入の効果は限定的になると見込んでいます。 西宮市においては、学校施設の整備が昭和40年代から50年代に集中したため、今後15~20年経過した頃に建築後80年を迎える学校施設の老朽化対策が大きな課題になると見込んでいます。 このため、減少している児童生徒数に合わせた学校施設の適正規模と適正配置を検討し、改築時における建築面積の適正化を図るとともに、他の公共施設との複合化など既存の学校施設における有効活用の検討も重要となります。 また、まちづくりの観点や地域コミュニティの拠点としての役割を考慮しながら、必要に応じて統廃合についても慎重に検討する必要があると考えています。
次に、大社中学校と神原小学校の施設統合や複合化について、お答えいたします。 現在、築70年を経た大社中学校の校舎改築について、基本構想・基本計画の策定に向けて作業を進めています。一方、神原小学校の校舎は昭和50年代に建築されており、まだ改築が必要な状況ではありません。全体的なコストを考慮しますと、今後5~10年以内に中規模改修工事を実施し、引き続き学校施設として利用することが最も合理的だと考えています。そのため、今回の大社中学校の改築と合わせての大規模な施設の統合や複合化は考えておりません。 なお、現在、大社中学校における新校舎の配置を検討しておりますが、将来、神原小学校の校舎を改築する際には施設の統合や複合化も可能となるよう、大社中学校の校舎を配置したいと考えています。
本年3月に民生常任委員会で報告のあった西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業の資料には、完成イメージがきれいなパースで描かれています。このパースを見た市民は、どのようなものが出来るのかという具体的なイメージを得ることができます。このパースが描けるのは、中央運動公園や中央体育館・陸上競技場について「時期」「場所」「手法」「形状」「機能」が決まっているからこそ描けるビジョンです。それぞれの答弁では、手法に関して「集約化」や「再編」「学校施設の統合や複合化」「改築面積の適正化」などいくつか把握が出来ました。ただ、最終的なビジョンをイメージ出来るところまでには至らない答弁でした。資料①にも示したように、あれだけの公共施設の延べ床面積を減らす訳ですから、市民に対する行政サービスへの影響は避けられません。再編や廃止によって現状よりも施設の数を減らせば、これまでよりも利用がしにくくなる可能性があります。また学校施設についても、仮に将来の児童数が減少して小学校同士を統廃合することとなれば、校区が広がり児童の通学に今以上の負担がかかります。このように市民への様々な影響を及ぼす可能性がある中で、38年後の公共施設ビジョンについて示せないまま縮減を進めることはあってはならないと考えます。そこで再質問です。
【再質問】計画に沿って縮減を進めた結果、学校や各公共施設が将来どのような形になっているのか、公共施設のビジョンとして市民にわかりやすく示す必要があると考えるがどうか?
【政策局長答弁】再質問にお答えいたします。公共施設のあり方については、建築年数なども考慮し、ある程度先のビジョンを描いておくことは必要であると考えますが、人口の推移や財政状況、施設の利用状況などその時々の情勢に応じ最適な整備手法や規模が異なってきます。特に、学校施設の統廃合や、公共施設の複合化を進める際は、まちづくりの観点や地域コミュニティの拠点としての役割を考慮しながら丁寧に検討していく必要があります。このため、現時点で38年後のビジョンをお示しすることは困難ですが、今の取組を進めていく中で、将来を見据えた施設の適正配置に繋げていきたいと考えています。
令和44年度までの長期目標である20%以上の縮減は、成し遂げなければならない重要な取り組みですが、ただ縮減するだけでは将来の公共施設が担うサービスが低下する恐れがあります。この縮減目標の達成と同時に、改めて将来の人口や変化に見合った公共施設の適正配置を実現することが重要です。 ここで一旦、将来の西宮市がどんな状況なのかを簡単に確認したいと思います。資料②から資料⑥をご覧ください。
資料②は西宮市第5次総合計画に示された将来人口推計と、国立社会保障・人口問題研究所(以下社人研と呼びます)が昨年12月末に発表した将来人口推計との比較です。ご覧の通り、減少傾向は変わらないものの、以前の将来人口推計より減少がゆるやかになっています。ちなみに、公共施設縮減のゴールとなる令和44年は西暦2062年、推計表の2050年よりもさらに12年後となりますので、ゴールの時点ではここからさらに減少する可能性が高いことは言うまでもありません。
資料③は社人研の推計をもとに西宮市の世代別人口の推計をグラフ化しました。左は2020年、右は2050年です。ご覧のように、65歳までの人口は減少し、65歳以上の人口は増加します。65歳以上の人口は全体の35%以上、現在よりも10%以上の増加となり、これを見れば令和44年は更に少子高齢化が進んでいる可能性が高いと言えます。
資料④は昨年に報告があった学校施設長寿命化計画の見直しについての資料に添付された将来の児童数 及び 教室数の推計グラフに少し加工をしたものです。このうち教室の数ついて平成30年の時点で小学校は合わせて854教室、中学校は311教室だったものが、令和11年には小学校で113減って741教室、中学校で27減って284教室となっています。令和11年以降の長期的な教室数の増減予測は示されていませんが、グラフをみると令和11年から令和32年までの間に児童・生徒数が3,657人減少すると示されていることから、令和44年には児童・生徒は更に減少することは明確で、これに伴い教室の数も減少することは避けられないと考えます。
資料⑤は本市における自然人口及び社会人口動態の推計です。まず社会人口動態から見ると、西宮市の転入・転出人口はH29年からの3年間を除いて転入超過となっています。一方で、自然人口動態は平成30年からマイナスに転じ、今後もこの 数字は大きくなることが予想されます。今後については、移動人口全体の人数が減ることでマイナスへと転じる可能性がある一方で、市営住宅施設の減少によって生まれた土地などに新たなマンション開発が行われることで、一定の超過が続く可能性も捨てきれないと私は予想しています。
最後の資料⑥は人口密度です。こちらは都道府県市町村というサイトのランキングデータをもとに、西宮市の人口密度について調べました。人口密度の計算方法は、人口を面積で割ったものです。1,739の市区町村で比較すると、西宮市の人口密度は103位となっています。しかし、西宮市の南部地域だけで算出すると 8540.29となり、千葉県習志野市を抜いて全国で50番目となります。西宮市の南部地域だけでみれば、全国的に見ても人口密度が高い街となります。保育所不足の課題を例に見てもわかるように、西宮市は必要な公共施設を整備するための土地が少ない街であるとも言えます。
こうした将来の状況や課題を考慮した上で、将来のビジョンを示すにあたって、いくつかの抑えておくべきポイントを私なりに考えてきましたので述べさせて頂きます。 1つ目のポイントは将来を見据えた公共施設の新たな配置です。今回の20%以上の縮減をより良い公共施設の適正配置が実現できる機会として捉えるべきです。
資料⑦をご覧ください。こちらは市民が利用する公共施設の中で、特に重要度の高い体育館・図書館・児童館・支所・市民交流施設を対象に、現状の配置を地図に落とし込んだものです。色のついた円は、図書館の適正利用圏の定義を参考に半径1Kmとしていますが、市民交流施設だけは地域性を考慮し半径500mとしております。こうしてみると、市民交流施設を除く施設はそれぞれに空白地が確認でき、この地域にお住いの方は対象の施設が利用しにくい状況にあると感じます。一方の市民交流施設では、一定の空白地の存在も確認出来る一方で、施設が一部地域に集中していることも把握できます。先にも述べたように、西宮市は将来さらに高齢化が進み、今も問題となっている移動の課題がさらに深刻化します。また本市には必要な公共施設を整備する有効な土地が少ないことも考慮すれば、今後は先に述べた施設の配置を再検証した上で、地域に不足した対象施設を学校施設の複合化によってコンパクトにまとめ、学校を地域の核として位置づけることが重要だと考えます。
2つ目のポイントは小学校区を可能な限り現状維持することです。先の教育委員会の答弁では「減少している児童生徒数に合わせた学校施設の適正規模と適正配置を検討し、改築時における建築面積の適正化を図る」とあります。つまり児童数が一定程度減少するタイミングまで長寿命化や中規模改修で延命し、改築のタイミングでその時の児童数に合わせて学校施設をダウンサイジングすると理解しています。もちろん、このやり方も間違いではないと思いますが、私はこの手法だけでは到底目標には達成しないと感じています。答弁にもあったように、学校施設の建設費は1.5倍になっています。これまで3校建設出来たものが、同じ費用で2校しか作れないわけです。仮に今の建設コストで40校の学校を作ったとしても、建設コストが上昇する前の段階で60校を作ったコストと変わらないことになります。とは言え、小学校同士を統廃合した場合、学校区によっては小学生の通学に大きな負担となる恐れがあります。もちろん、いくつかの小学校は統廃合しなければなりませんが、その対象を最小限にするためにも、校区に影響を及ぼすことのない中学校との施設統合は効果があると考えます。加えて、現在でも教員不足が深刻な問題となっています。幅広い分野で人手不足が深刻化することを考慮すれば、施設統合によって教育人材を集中させることは教員不足対策にもなると考えます。学校施設は複合化による建て替え・小学校と中学校の施設統合・適正な時期に行うダウンサイジング・そして廃校の4つの手法すべてを実施していく必要があると考えます。
最後は学校施設の各教室の活用にむけた整理です。資料⑧をご覧ください。こちらは前回の12月定例会で要望した学校施設の各教室や体育館の稼働率シミュレーションです。まずあらかじめお伝えしますが、こちらの数字はあくまで参考値です。体育館などは行事で使用する時間も入っていない為、この数値をもって結論をだすことはありません。ただ、小学校や中学校の一番右側にある時間稼働率、つまり土日休日を含む数値を見ると、工夫次第で地域への一般開放や重複する教室をまとめて1つにすることなど、縮減や利活用への可能性はあると考えます。令和44年までの期間で、改築のタイミングを待つ間は長寿命化や中規模改修等で現状を維持する学校も少なくありません。この間、空き教室の活用や特別教室・体育館の一部利用をより活性させることも、縮減効果を高める意味において重要です。さらに昨年6月定例会で取り上げた育成センターの空き教室への転用も積極的に進めていくべきです。ただし、学校施設を地域の方々に一般開放する為には、児童・生徒とは別々に出入り口を設け安全性をしっかり確保する必要があります。このシミュレーションに記載されていない他の教室も含め、改めて必要な教室の洗い出しを行い、可能な限り無駄を無くしていくことも重要です。
以上、今後のビジョンに向けたポイントをお話しましたが、いまいちど公共施設の適正配置について、フラットに考えていただきたいです。子どもたちにとって、先生たちにとって、地域の人達にとって、すべてにおいて魅力的で過ごしやすい便利な街としていくためには何が必要か、まずは理想から積み上げて下さい。そしてその理想がどうすれば実現するのか、共に考えて参りたいと思います。将来に向かってやってはいけないこと、それは問題を把握していながら、それを先送りして子どもたちに負担を押し付けることです。公共施設は1つ作るのに何十億もの費用が必要です。そして、一度作ったら約80年先までやり直しができません。教育施設は文教住宅都市 西宮市にとって最重要の施設です。しかし他の施設も重要です。だからこそ、可能な限りタイミングを合わせて複合化・統合し、まとめながら建て替えるべきです。 政策局長の答弁には「学校施設を含めた周辺施設との統合や複合化を含め慎重に検討していく」との答弁でした。学校施設との複合化を実施するのであれば、まず学校と複合化する対象施設やタイミング、規模、新たな配置を決めておく必要があります。
また大社中学校と神原小学校との統合について、教育委員会の答弁では「今回の大社中学校の改築と合わせての大規模な施設の統合や複合化は考えていない。なお、現在、大社中学校における新校舎の配置を検討しているが、将来、神原小学校の校舎を改築する際に統合や複合化も可能となるよう配置したいと考えている。」と答弁があり、将来的には他の公共施設の複合化や神原小学校との統合にも対応できるよう準備を進めていく内容と理解しました。市はこの計画にきちんと歩調を合わせるべきです。政策局長から「慎重に検討」とありましたが、そんな悠長な時間はありません。学校運営協議会の資料によると、大社中学校改築事業の基本構想は2024年~2025年、工事は2026年からとなっています。大社中学校における複合化の対象施設は基本構想内に明確化するよう要望します。そしてのちに市民がわかりやすい全体的な公共施設のビジョンを示すよう、重ねて要望します。
あと、大社中学校の改築工事に合わせて、是非神原小学校の通学路の安全対策にも取り組んでください。2018年8月の一般質問で「阪急甲陽線西宮六甲線踏切の安全対策」について私が質疑を行ってから、間もなく6年が経ちます。神原小学校で見守りを行って下さる方々や保護者の方々から、通学路の安全に不安を抱く声を多く聞いております。こちらは今後改めて取り上げさせて頂きますが、大社中学校改築と一体的に取り組むことで、解消に向けた新たな策が生まれるかもしれません。宜しくお願い致します。