2023年6月定例会一般質問 ●人口減少の抑制に対する市の考え方について

2023年6月定例会一般質問 ●人口減少の抑制に対する市の考え方について

6月23日金曜日に一般質問を行いました。
4年半振りの登壇してたが、良い緊張感で質疑を行うことが出来ました。
今日から、その内容をご報告させていただきます。

今日は●人口減少の抑制に対する市の考え方についてです。

西宮市は今後人口が大きく減少する可能性があります。資料①をご覧ください。

こちらは西宮市 住民基本台帳を参考に平成24年から令和4年にかけて世代別人口がどのように推移したかを表したものです。西宮市の人口は1,205人増加しています。しかし、0歳から14歳までの人口、いわゆる子供の人口は9,288人減少しています。また15歳から49歳までの人口、いわゆる子育て世代及び将来子育て世代の人口も25,539人減少しています。増加しているのは50歳以上の高齢者を含む世代の人口です。この表を見てお分かりいただけるように、西宮市は少子高齢化が進んでいることが明確です。このまま少子高齢化が進めば、高齢者人口の増加に伴う自然減によって、近い将来西宮市の人口は大きく減少する可能性があります。人口が大きく減少すれば、西宮市の税収は下がり、現在実施している公共サービスに悪影響が及ぶ可能性があります。また公共サービスだけでなく、市民が利用しているバスや電車等、公共交通機関への影響や、市内産業への売り上げ低下、病院・介護・保育等重要な施設への雇用問題など、さまざまな市民生活に悪影響を及ぼす可能性があります。西宮市民が今後も豊かに暮らせる街を目指す上で、人口減少の抑制は取り組むべき重要課題の1つだと私は考えております。

資料②をご覧下さい。こちらは兵庫県のHPに掲載されている「人口動態調査」を参考に作成した西宮市の出生数と死亡数を表したものです。

一番右の数字は出生数から死亡数を差し引いた数となっております。西宮市は平成30年以降、生まれてくる子供の人数よりもお亡くなりになられる方々の人数が上回っています。そして以降その人数は年々増加傾向です。こうした状況から、出生数による人口減少の抑制効果は現時点において見込めないと言えます。こうした状況の中で西宮市が人口減少を抑制する為には転入人口、つまり市街から西宮市へ引っ越ししていただく方を増やすことが重要だと考えます。

資料③をご覧ください。こちらは総務省が発表した「住民基本台帳に基ずく人口、人口動態及び世帯数」を参照に作成した、西宮市の転入・転出人口の推移です。

平成26年から令和3年までの8年間における西宮市の移動人口の累計は、転入が160,316人、転出が162,476人となっております。結果として転入した人口よりも転出された人口が2,160人多くなっています。

次に資料④をご覧ください。こちらは兵庫県内49の市区町における8年間の転入・転出人口の累計平均を総人口で割った増減率をもとに順位付けした表です。

1位は神戸市中央区、2位は子育ての町で注目を集める明石市、その後は神戸市兵庫区、播磨町、神戸市灘区、稲美町と続き、12位の宝塚市までが転入超過となっています。一方で西宮市は県内で15番目という結果となっており、近隣市の伊丹市、芦屋市、尼崎市、宝塚市よりも減少率が低いという結果です。西宮市は住みたい街ナンバー1にいつも選ばれていますが、この結果を見ると評価と実態が見合っていないようにも感じます。西宮市の転入・転出人口は令和3年度だけを見れば318人の転入超過となっておりますが、今後も転入人口が増加する確証はありません。また先ほどの死亡数の推移を上回る転入人口を見込めなければ、人口減少の抑制効果はさらに低下してしまいます。人口減少を抑制するためには抑制効果に見合う転入人口の増加を目指すことが、これからの西宮市に必要な対策であると考えます。

資料⑤をご覧ください。こちらは2020年から2022年までの3年間における全国の世代別移動人口の平均をグラフ化したものです。

この表を見ればお分かりいただけるように、転入・転出共に全体の約85%が49歳までの世代の方々、いわゆる子育て・将来子育て世代の方々となります。つまり転入人口を増やすためには、この世代に選ばれる街でなければなりません。転入人口の増加によって人口減少を抑制することが出来れば、税収の減少は抑えられ、財政の安定化につながり、公共サービスの低下や様々な市民サービスへの悪影響を最小限に抑えることが期待できます。

一方で、令和4年9月26日に開催された決算特別委員会 総務分科会において、政策局長は「西宮市のDID(人口集中地区)につては、100人/haを超えている状況。都市計画的に人口と公共施設サービスのバランスを考えると、人口密度としては少し高過ぎるぐらいの水準になる。(中略)西宮市全体を考えたときに、48万か49万ぐらいの人口が適切なのか、もしくは45万前後が適切なのか、立地適正化計画の中でも整理している。それぞれの地域特性の中で適正な人口を維持していく、年齢間の人口バランスを維持していく、そういう施策しさくに力を入れていくべき。全国的に、例えば40人/haを切って人口減少が進んでいるところについては、総人口を持ち上げるために移住・転住てんじゅう政策に積極的に取り組んでいる地方都市などが多くある。しかし西宮市での人口政策は、アプローチとしては少し違うだろう」と発言しております。そこでお尋ねします。

(浜口質問)
先の政策局長の答弁を読む限り、適正な人口という表現が人口減少の抑制に消極的な考えをお持ちではないかと懸念しています。それぞれの地域特性の中で適正な人口を維持していく、年齢間の人口バランスを維持していく施策とは、具体的にどういったものか?


(政策局長答弁)
本市の人口は、震災後の住宅供給の増により増加していましたが、平成28年の48万8千人をピークに、以降は減少が続いています。少子高齢化が進む中、本市の人口減少に対する取組の方向性としては、出産や子育て支援に係る施策を充実させるとともに、子供たちの健やかな成長を地域全体で見守る「子育てにやさしいまち」を目指していくことで、出生率の低減を抑制し、子育て世代の転入促進にもつなげていきたいと考えています。


しかし、市全体としてこのような方向性で取組を進めたとしても、交通や生活の利便性などから、「住みたいまち」として高い評価を受けて一定の人口を維持している地域がある一方で、人口減少が顕著になってきている地域もあるなど、人口の社会増減については地域差があり、それぞれに異なった課題を抱えています。そのため、市全体として人口増を図る市内一律に近い取組だけではなく、地域特性に応じた取組も必要であると考えています。

例えば、今年度より兵庫県と連携して実施している移住支援事業については、対象地域を北部地域に限定しています。また、各地域の魅力の向上やPRなどの取組も進めることにより、それぞれの地域特性に活かした「住みたいまち」、「住み続けたいまち」として、若い人達を含む幅広い世代に継続的に選ばれるまちを目指していきたいと考えています。

答弁では、「少子高齢化が進む中、本市の人口減少に対する取組の方向性としては、出産や子育て支援に係る施策を充実させるとともに、子供たちの健やかな成長を地域全体で見守る「子育てにやさしいまち」を目指していくことで、出生率の低減を抑制し、子育て世代の転入促進にもつなげていきたい」との内容でした。私の「人口減少の抑制に消極的」という懸念は、この答弁で少し薄れました。

「今年度より兵庫県と連携して実施している移住支援事業については、対象地域を北部地域に限定している」とあります。もちろん、北部に多くの方が移住していただけることは、大変ありがたいと思います。しかしながら、余程の魅力を付加しなければ人口抑制に見合うだけの効果を見出すことは困難ではないかとも感じます。北部も含め、転入に格差のある地域の課題を補う施策を進めることや、西宮市に引っ越ししたいと思う方々のニーズを取り込んで反映しながら、地域特性をより強くPRしていく取り組みを進めていただきたいと思います。

一方で、人口推計を見ても西宮市の将来人口減少は避けられないと感じています。この傾斜をいかに緩やかにしていくかが重要です。先にも申し上げた人口減少における行政サービスの低下や市民生活への様々な悪影響を低く抑えていくためには、しっかりと抑制へのアクセルを踏み込むことが重要です。西宮市内でも特に人口が過密な地域は、それだけ多くの方が選ぶだけの利便性や魅力のある地域です。こうした地域に対しても、今後も転入を妨げる課題を解消していくべきだと思います。

そしてもう1つ大事なことは、転出人口も抑えることです。住みたい街No.1だから住んでみたら期待外れだった、こんなはずではなかった、といった感想を持たれることのないよう、転出していく方々へ耳を傾けることも大事だと思います。「子育てにやさしいまち」をPRするのであれば、抽象的な表現ではなく、子育てにやさしいまちとは具体的にどんな街なのかを明確にして、その内容をPRすべきです。「若い人達を含む幅広い世代に継続的に選ばれるまちを目指す」との答弁でしたので、各世代の課題に照らし合わせながら、施策を進めていただくよう要望します。

次回は●送迎保育ステーション事業の拡充についてをご報告します。