前回に引き続き、6月定例会一般質問のご報告です。
今日は●送迎保育ステーション事業の拡充についてです。
西宮市が子育て世代に選ばれる街となる為にも、保育所待機児童の解消は欠かせません。5月11日にこども支援局から発表された 「令和5年4月の保育所 等 待機児童 数について」によると、令和5年4月1日現在の厚生労働省の定義に基づく待機児童数は、昨年から4人増加し、56 人 となっています。また待機児童に含まれない児童を含めた利用保留者数も 180人増加し、1,112 人となるなど、未だ市長が公約に掲げた待機児童0の達成には至っておりません。
資料⑥と⑦をご覧ください。資料⑥は年齢別で見た利用保留者数の推移、資料⑦は校区別に見た利用保留者数の平均人数です。
年齢別でみると利用保留者数のうち1歳と2歳が特に多くなっています。
校区別でみると、夙川小学校区が最も多く45人、次いで深津小学校区が35.7人、以降は平木、鳴尾北、広田、甲陽園、神原小学校区が30人以上となっており、他の学校区よりも多くなっています。特に夙川小学校区の課題は長年改善されていません。その理由として整備地の不足や高額な地価が影響している可能性があります。対象の地域に保育所を整備出来る場所が無い場合の対応として、送迎保育ステーション事業が効果的だと考えます。
送迎保育ステーション事業は平成28年の3月定例会にて、当時私が無所属議員で会派せんしんに所属していた頃に、流山市での先進事例を参考に提案・政策実現した事業です。保護者は阪神西宮駅の3階に設けられたステーション施設に子供を預け、そのまま電車で出勤します。子供達は保育士が同乗する専用バスに乗って、高須町にある保育所まで移動します。送迎保育ステーション事業は電車で出勤するついでに子供を預けられる利便性と、整備地に余裕のある地域で保育所を整備し、バスで児童を送迎することによって、対象地域の整備地不足という課題を改善出来るメリットがあります。現在も保育所待機児童が慢性化している学校区の最寄り駅となる阪急夙川駅や阪急西宮北口駅に送迎保育ステーションを整備し、受け皿となる保育所施設をバスの移動時間30分圏内の場所に整備することで、待機児童の解消に効果が期待できます。
しかしこの送迎保育ステーション事業は3歳から5歳の児童が対象で、1歳や2歳への対応が出来ないことが課題です。先ほどの資料⑦にもあるように、西宮市では1歳と2歳の利用保留者数が高くなっています。そこで、送迎保育ステーション事業を利用できる対象年齢を2歳からとするよう検討してはいかがでしょうか。送迎保育ステーション事業で使用する専用バスには年齢制限を特に設けていません。児童の安全性の確保を徹底的に検証した上で、2歳児専用の送迎バスによって慢性化した対象地域の待機児童を軽減出来る期待が持てると考えます。そこでお尋ねします。
(浜口質問)
送迎保育ステーション事業について、新たに阪急夙川駅や阪急西宮北口駅を加えた事業の拡充を行うべきと考えるがどうか?また利用保留者数全体の6割が1歳と2歳となっている現状を改善するためにも、送迎保育ステーション事業の対象に2歳児童を加えることを検討してはどうか?
(こども支援局長答弁)
送迎保育ステーション事業(以下、「事業」といいます)の拡充につきましては、議員ご指摘のとおり、特に阪急沿線の小学校区において利用保留児童が多いという状況については認識しており、その地域へ事業を拡充することは待機児童対策としても効果があると考えておりますが、駅近隣へのステーションの整備、送り先の保育所用地の確保、ステーションや送迎バス内に追加で配置が必要な保育士の確保といった条件を同時に整える必要がございます。今後も利用保留児童の状況を注視しながら、必要に応じて検討してまいります。
また、事業の対象に2歳児を加えることにつきましては、送迎に関して、特にバスの乗降時や乗車中に児童の安全確保ができること、健康面で問題がないことに加え、現在、2歳児については待機児童が発生している状況であるため、児童の負担にならない距離に受入れ可能な保育所があるかなど、費用面も含め課題があると考えております。こうしたことから、事業の拡充につきましては今後も慎重に検討を進めてまいります。
送迎保育ステーション事業が待機児童対策に効果がある、というご答弁でしたので、拡充を進めていくために必要なことは整備への課題をどう解消するかだと思っています。特に阪急夙川駅は整備地の確保が本当に難しい地域です。例えば、駅から南へ徒歩3分程にある夙川公民館を活用することも検討してください。夙川公民館は1964年に建設されており、24カ所ある公民館の中でも2番目に古い建物です。公民館の建て替えを前提に、周辺の整備を含めた送迎保育ステーション施設との合築、長寿命化改修による併設など、様々な選択肢が考えられるかと思います。阪急西宮北口駅も含めて、事業の拡充を検討するよう要望します。
また整備に伴い保育士の確保対策も重要です。平成28年3月定例会では、この送迎保育ステーション事業の他に保育士 確保対策として宿舎借り上げ事業も提案し、実現しました。
資料⑧をご覧ください。
こちらは宿舎借り上げ事業の実績ですが、利用人数は年々増加しています。この結果を見てお分かりいただけるように、保育士確保の効果が一定認められることから、宿舎借り上げ事業の予算も拡充するよう重ねて要望致します。
2歳児童のバス利用については、確かに先進事例が確認されないことから、市としても慎重にならざるを得ないことは理解しています。しかし2歳児童の搭乗を法律上禁止されていないことを考慮すれば、決して無謀な対策だとは思いません。2歳児童に限ってはシートベルトを義務付けることや、バスに添乗する保育士に加えて、児童の見守りや誘導をサポートする支援員を新たに追加で添乗させること、乗降場所の安全確保など、必要な対策を徹底的に検討した上で、利用する保護者のご意見やニーズを確認しながら実施に向けた検討を進めていただくよう要望します。
次回は●育成センター施設整備の課題についてをご報告します。