12月定例会一般質問~公共施設の建設費高騰に対する市の考え方について~&~公共施設における施設総量の縮減目標について~

12月定例会一般質問~公共施設の建設費高騰に対する市の考え方について~&~公共施設における施設総量の縮減目標について~

今日は家族で大阪光の饗宴というバスツアーに参加しました。
屋根がないバスで大阪御堂筋のイルミネーションや高速道路を観光するツアーです。
大阪市役所前のミャクミャクさんにも会えました。
少し寒かったですが、とても綺麗でした。

今日は公共施設の建設費高騰に対する市の考え方について公共施設における施設総量の縮減目標についてをご報告します。

まずは公共施設の建設費高騰に対する市の考え方についてです。

物価高騰の波は公共施設の建設費にも及んでいます。少し飛びますが、資料⑤をご覧ください。こちらは国土交通省が発表する公共工事 設計 労務単価資料に添付された全国全職種の労務単価の伸び率を表したグラフです。ご覧の通り、平成25年度以降11年連続で単価が上昇しており、令和5年における公共工事 設計労務単価の単純平均の伸び率の推移は、平成24年と比較すると全職種で65.5%となっています。次に資料⑥をご覧ください。こちらは一般財団法人 建設物価調査会 総合研究所が2023年11月1日に公表した建設資材 物価指数(以下、物価指数と呼びます)のグラフです。平成27年の数値を100とし、以降の物価指数の推移を表しています。建築部門、建築補修部門、土木部門、建設総合という4つのグラフを色分けしております。ご覧の通り、こちらも労務単価同様に全ての項目で物価指数が上昇傾向となっており、約30~35ポイントの上げ幅となっています。

労務単価や建設資材の上昇は、公共施設の入札の際に算定する入札予定価格にも影響を及ぼします。つまり公共施設の建設費は労務単価や物価指数と同じ推移で高騰している可能性があります。西宮市でも最後に取り上げる「西宮中央運動公園 及び中央体育館・陸上競技場等 再整備事業」(以下、中央体育館整備事業と呼びます)については、令和4年11月時点で約188億円を想定していた総事業費が、資材の高騰や人手不足などによって予定価格は約221億円となり、同年11月時点と比べて約33億円(18%)増加しました。

私はこの労務単価や建設資材の高騰によって、公共施設の建設費が上がる状況をどのように受け止めるべきか悩んでいました。なぜならこの問題は、先ほど挙げた例にとどまりません。市が発注する公共施設全ての建設費に影響を及ぼすだけでなく、様々な事業の委託費や備品等にも影響します。

物価の高騰は必ずしも悪ではありません。日本はこれまで長い期間に渡ってデフレーションの状態に陥っています。物の価格は安く抑えられる一方で、企業の成長に歯止めがかかり、従業員の賃金が上がらないという負の一面があります。今回の物価上昇の入口は、世界情勢によってエネルギーや資材の原価が上がったことが要因でした。急激な物価の高騰は市民の生活を苦しめることから、先ほどのプレミアム付きお買い物券や学校給食の食材費への対応のように、国は様々な物価高騰対策によって国民の負担を軽減してきました。そのような中で、価格を上げやすい環境となったこの機に、様々な業種で価格を上げた企業も少なくないと推察しています。企業が価格を上げることによって成長に必要な資金を得る、その成長は後に従業員の賃金へと転化され、人々の収入が増えれば、最終的に国や自治体の税収は増えるという好循環が生まれる可能性が高まると考えます。そこで市にお尋ねします。

(浜口質問)
資料が示す労務単価や資材物価の高騰によって、市が算出する予定価格は年々上昇傾向にあると推察する。こうした状況を踏まえると、市が近年発注する公共施設の建築費も同様に増加傾向となっている可能性がある。この傾向についての今後の見通しを市はどのように考えているのか?また先にも説明した好循環、つまり「人手不足や資材高騰によって上昇した費用を受け入れることは、後々の税収となって還元される」という考え方について、市の認識、さらに結果が把握できる期間をどうお考えか?

答弁をお願いします。

(北田副市長答弁)
「公共施設整備費高騰に関する市の考え方について」のご質問にお答えいたします。まず、今後の見通しについて、でございますが、近年、世界的な社会経済情勢の変化により、労務単価や建設資材価格は上昇を続けており、市が発注する公共施設の建設費につきましても、今後しばらくの間は、増加傾向が続くものと見込んでおります。

次に、建設費の高騰分が還元されるかとのご質問ですが、建設費の高騰にともない、労働者の賃金が上昇することによって、結果として、それが税収の増につながるような好循環が果たされることは市としても望ましいものと考えております。

なお、何らかの期間を定めて、建設費の高騰に係る労務単価の上昇が、どの程度税収に影響しているのかなどを市レベルで把握することは、難しいのではないかと考えております。

当初は中央体育館整備事業の予定価格が大きく上がったことを知った時、こんなに費用がかかるなら整備をやめるべきではないか?と考えました。しかし、他の予定価格も同様に上がっているのであれば、価格の上昇だけを理由に全ての公共工事や委託を止めなければならず、それは現実的ではありません。

経済の好循環について、北田副市長の答弁では「労働者の賃金が上昇することによって、結果として、それが税収の増につながるような好循環が果たされることは望ましいもの」というお考えの通り、その期待を持って受け入れていく他ないものと考えます。一方で、市民から預かった大切な税金を用いて整備を行う以上、適切に競争原理が働く入札制度をさらに追及することも忘れてはいけません。この件は今後、改めて取り上げることにして、この質問を終わりたいと思います。

次に公共施設における施設総量の縮減目標についてです。

先ほどの「公共施設 建設費高騰に対する市の考え方について」の答弁では、北田副市長から「建設費の高騰に係る労務単価の上昇が、どの程度税収に影響しているのかなどを市レベルで把握することは難しい」との意見にもあったように、必ずしも好循環になるという保証は無いことも事実です。であるならば、期待していた税収の増加が見込めない恐れがあることも想定しなければならないと考えます。

公共施設の整備費は、人手不足や資材高騰が始まる前に比べて高くなっています。第5次総合計画はもちろん、今後の第6次総合計画以降の整備計画にも財政面での影響を及ぼすことは必至です。とは言え、必要な施設は整備しなければなりません。現状のままではこの建築費の高騰部分の多くは、今の子どもたちが大人になった頃に大きな負担となる可能性があります。将来への負担とならない為にも、公共施設における施設面積の縮減は今以上に強く進めるべきだと考えます。

石井市長は公共施設における施設総量の縮減目標について、当初令和14年までの縮減目標が10%だったものを3.26%へと下方修正を行いました。この変更には一定の理由があると理解をしています。しかしこの変更で縮減すべき面積は大きく減少し、次の目標となる令和44年へ縮減すべき面積を大きく増やした形で先送りされる結果となっています。そして今回の建設費の高騰で、その負担はさらに大きくなる恐れがあります。そこで石井市長にお尋ねします。

(浜口質問)
現状の財政状況や将来の負担軽減を考慮すれば、石井市長によって変更された令和14年度の施設総量の縮減目標3.26%をより厳しいものへと変更するべきだと考えるがどうか?またさらなる公共施設の縮減を推進すべきと考えるが、その際は公共施設の中でも大きな割合を占める市営住宅や学校についても明確な縮減への具体的な方針を示すべきと考えるが石井市長のお考えはどうか?

答弁をお願いします。

(石井市長答弁)
施設総量については、将来的には現在ある全ての施設を同じ規模で更新していくことは財政的に見ても困難となることから、数値目標として総量縮減を掲げ、全庁的に取り組んでいるところです。

令和14年度までの中期目標については、平成21年度比で3.26%以上縮減としていることから、議員のご指摘のとおり、長期目標の達成に向けて、より縮減効果をあげることは必要なことだと考えております。

現在の計画は、現時点で縮減等が具体的に想定されている個別の施設を積み上げて策定したものですが、今後、財政構造改善基本方針に基づき、幼保一元化など業務の統合をはじめとした施設の集約化等の取り組みを進めることで、施設総量の縮減につなげていきたいと考えており、具体的な縮減効果が明らかになった段階で、現在の計画にその数値を反映させていきたいと考えております。

令和44年度までの長期目標である20%以上縮減については、施設総量でも多くの割合を占める住宅施設や学校施設における取組みが必須であると考えております。

住宅施設については、令和4年度に改定した市営住宅整備・管理計画に基づき、適正な管理戸数を見極めつつ総量縮減を着実に進めてまいります。

また、学校施設については、学校施設長寿命化計画に基づき取組みを進めておりますが、現在、計画の見直し作業も進めているところですので、児童生徒数・学級数の将来推計などを踏まえた上で、学校規模の適正化についても検討を行い、良好な教育環境を維持しつつ総量縮減に向けて取組みを進めてまいります。

まず資料④をご覧ください。こちらは公共施設マネジメントの進捗状況を整理した表になります。西宮市 建築系 公共施設 個別施設 計画に記された令和14年度までの増減見込みはマイナス5.41万㎡、この縮減が目標数値の3.26%となります。さらにここから、施設延床面積が減少するものと増加するものに仕訳を行いました。減少する施設の総延べ床面積は11.56万㎡、増加する施設の総延べ床面積は6.15万㎡となっています。そして現在どの程度完了しているのかを調べる為、すでに解体、あるいは建設が完了したものだけを抽出してみました。左の赤枠がすでに減少出来たもの、右の青枠がすでに建設出来たものです。ご覧いただけるように、増加する施設延床面積は55%以上達成しているのに対して削減する施設延床面積は11%に留まっている結果となっています。また石井市長の任期中は最近建設が完了した西宮市卸売市場中央体育館整備、移転が計画されている中央図書館など、増加分の達成率が大きく上がる公共施設が完成を控えています。この表だけを見ると、先に作りたいものを作って、減らすことは後回しのように感じてしまうのは私だけでしょうか?

「令和14年度の施設総量の縮減目標3.26%をより厳しいものへと変更するべき」という訴えについては、「より縮減効果を上げることは必要。具体的な縮減効果が明らかになった段階で、現在の計画にその数値を反映させていきたい」との事でした。私は市長のお考えとして、3.26%を超える更に踏み込んだ縮減目標を近くご提示頂けると理解しました。今回の答弁は、この数字が示されることで初めて評価されるもの、という事をしっかりご認識下さい。

また、「公共施設の中でも大きな割合を占める市営住宅や学校についても明確な縮減への具体的な方針を示すべき」という私の訴えに対しても、「取り組みが必須である」というご認識を示されました。市営住宅に関しては少し横に置いて、今回は特に学校施設に対して強い思いがありますので、こちらについてもう少し質問をさせて頂きます。ご答弁では、「(学校施設長寿命化)計画の見直し作業を進めている。児童生徒数・学級数の将来推計などを踏まえた上で、学校規模の適正化についても検討を行い、総量縮減に向けて取り組みを進める。」とのことでした。学校規模の適正化を図る上で、検討に必要な情報がなければならないと思います。施設を統合するのか否かを検討する為に重要な情報の1つとして、対象と成り得る学校施設の各教室がどのような利用実態であるのかを把握する必要があります。この情報無しに、施設総量がどれだけ必要なのかを導くことは困難と考えております。そこで再質問です。

(浜口再質問)
市立大社中学校が今後改修工事を予定しているが、隣に隣接する市立神原小学校との施設統合によって様々なメリットが得られる可能性があると考える。隣接する小・中学校の施設統合におけるメリット・デメリットについて市はどのようにお考えか?また学校施設の各教室がどのような利用実態であるのかを把握するためにも、学校現場に負担をかけることなく市長部局と教育委員会が協力して調査を実施し、施設統合の課題や実現性にむけた検討を行うべきと考えるがどうか?再質問に対する答弁をお願いします。

(岩崎副市長答弁)
まず、小学校・中学校の統合におけるメリット・デメリットについてお答えします。学校を統合し、施設の共用が可能となった場合、コスト面のメリットは見込まれますが、特別教室などは既存の仕様のままでは、小学生と中学生で共用できないと考えております。そのため、施設統合による効果を十分に得るためには、新たな施設整備と設計上の工夫が必要となるため、例として挙げられましたように老朽化などに伴う全面的な校舎等の改築が条件になると考えております。

それに加えて、学校施設を統合するにあたっては、統合後のクラス数に見合った十分な面積の学校敷地と施設が必要となります。文部科学省の基準で、小学校と中学校においては12~18学級を標準規模としていますが、31学級以上の学校は過大規模校として、学校運営上、様々な課題やデメリットが生じることが示されています。そのため、学校を統合する際は、学校や地域の実情にあわせた適正規模と適正配置について、慎重に調査・検討する必要があると考えております。

次に、学校教室の実態調査等についてですが、小・中学校の施設統合を含め、学校施設総量の縮減を図っていくには、各学校における普通教室・特別教室などの空き状況や今後の見込み等を正確に把握する必要があります。公共施設総量の縮減に関しては、学校施設だけではなく市長部局の所管を含めた全公共施設の状況を踏まえて進めていく必要があるため、これまでも「学校施設長寿命化計画」等において、副市長を筆頭とする庁内の委員会を設けるなどして、市長部局と教育委員会が連携しながら計画の策定にあたってまいりましたが、今後とも、市長部局と教育委員会が緊密に連携を図りながら、まずは必要な調査を進めてまいります。

学校施設統合の必要性については、6月の一般質問でも触れましたので細かな説明は省きますが、学校施設統合による建て替えは、これからの学校の在り方を0から構築できるチャンスだと捉えるべきです。一度建て替えや改修を行えば、この機会は何十年と訪れることはありません。この機会に向けて、教育現場の課題や問題点、資料⑧にもあるように将来の児童数の推移、未来への可能性など、あらゆる材料をテーブルに載せて検討すべきです。
●教室数の確保による開発抑制の緩和
●市民集会施設や育成センターなど施設集約による総延床面積の縮減
●施設の管理における教員負担の軽減
●体育館や図書館など学校施設の地域開放
●不審者から児童・生徒を守るセキュリティの強化
●いじめ対策や教育指導に必要な新しい教育環境の構築
●長期的な視点での学校の適正配置

など、この検討によって様々な効果が期待できると考えます。大社中学校の改修工事が計画段階に入る前に、調査を進めて下さい。そして様々なメリット・デメリットを検証し、施設統合への可能性を検討頂くよう要望します。

今日はここまで。