娘が愛用しているクーピーのフタを壊してしまいました。
翌日クーピーが何やらおかしな姿に。。。
よく見ると自分でセロハンテープを使って修理してました。
彼女の努力に敬意を表します。
子育て環境の改善について最後となります。
前回の内容は以下をご参照ください。
3月定例会 一般質問①
3月定例会 一般質問②
3月定例会 一般質問③
3月定例会 一般質問④
4つ目は【保育士の雇用確保と定着化について】です。
西宮市で新しい保育所を整備したり、既存の保育所で保育士が辞職された場合には、新たな保育士の雇用が必要となります。しかし近年では保育士不足が深刻化しています。
資料は厚生労働省が発表した平成25年度の保育所に勤務する保育士の経験年数と、保育所に勤務する保育士の採用者及び離職者(常勤のみ)を示した表です。
8年未満の保育士経験年数を公立、私立それぞれで比較すると、公立保育所の保育士経験年数が公立保育士全体の36.9%であるのに対し、私立保育所の保育士は全体の57%と高い比率になっております。また、保育所保育士の離職者の数を比較しても、公立保育所の離職率が7.1%であるのに対して、私立保育所の離職率は12%と高くなっています。
次の資料は東京都福祉保健局が平成26年に発表した「東京都保育士実態調査報告書」の保育士における現在の職場の改善希望状況です。保育士が最も改善を望むことが給与・賞与等の改善、次に職員数の増員、事務・雑務の軽減と続きます。
「給料が安い」「職員数が少なくて仕事がきつい」「保育所の現場では保育以外にも仕事がたくさんある」
という理由が保育士に不満を募らせ、結果として私立保育所では離職率が高くなり、その抜けた保育士の穴を埋めるためにより多くの雇用が必要となっていると考えられます。事業者の方のお話では、保育士養成学校を卒業した新卒の方々は「民間の企業」→「公立保育所」→「私立保育所」の順で就職先を希望する方が多いそうです。資格をとっても、結果的に給与など雇用条件が悪いことが原因で私立保育所への就職を諦めてしまう状況も考えられます。
こうした保育士の改善希望を満たせば、保育士への雇用率や勤務の継続が可能となり、問題が緩和される可能性があります。西宮市内で働く保育士にも同様の改善希望があると予想されることから、市は実態の把握を行った上で改善希望に沿った対策を行うべきです。
大阪府豊中市では平成27年度から宿舎借上事業を行っており、保育士確保の強化を図っています。これは市内にある認可保育所、認定こども園、小規模保育事業など保育施設等を経営する法人が雇用から5年未満の保育士に対して、法人が借りた宿舎に入居させることで国や自治体が家賃の補助をおこなうという制度です。
横浜市では独自の補助負担比率で宿舎借上事業を実施しており、家賃が最大8万円の宿舎に対して4分の3、つまり6万円を補助します。この6万円の補助については、国が2分の1、市が4分の1、保育士を雇用する法人が4分の1を負担することになっております。市の試算によれば、仮に横浜市と同じ内容の宿舎借上事業を市内の保育所50名の保育士に対して実施した場合、市の年間事業負担はおよそ900万円となります。
西宮市では今後5年間で毎年約180名程度の保育需要を見込んでいます。
つまりその受け入れを行うだけの保育施設が必要であり、同時に保育士も必要です。
そこで私は「今後毎年180名程度の保育需要が見込まれることを考慮すれば、宿舎借上事業による保育士の確保は有効な手段であると言えるが、市はどうお考えか?」という質問をさせて頂きました。
これに対して市は
「本市が保育士確保策を検討するにあたって最も重要視している課題は 現状保育士が長く定着しないことです。この課題を解消することが個々の保育士のスキルアップにつながり、ひいてはそれが民間保育所全体における保育のさらなる安定にも繋がるものだと考えております。議員ご提案の宿舎借上事業については、本市としても保育士確保策の一つとして導入に向けた検討を行いました。しかしながら、この事業における補助期間が保育士採用後5年間に限られることから、場合によっては、保育士が、補助期間の終了する5年で退職し、かえって定着しない危惧があること、また、この制度を先行して導入した自治体においてはっきりとした効果がまだ見受けられない状況であること等から、新年度予算への計上は見送ったものです。それに代わって、新年度における保育士確保に向けた支援策としては、「保育士就職フェア」の拡充実施のほか、保育士資格の取得支援にかかる経費について予算計上しております。本市としては、今後とも国の動向や、他市における先進的な取組み等も参考にしながら、より効果的な保育士確保策について、引き続き検討してまいります。」
との答弁を頂きました。
確かに答弁の通り、この宿舎借上事業が5年という期限付きであり、保育士雇用の根本的な課題解決にならないことは理解できます。
ただ、「最も重要視している課題は 現状保育士が長く定着しないこと」に対して市が行っている保育士確保の支援策が「保育士就職フェア」というのは非常に理解に苦しむところです。
課題が「保育士の定着」なら「なぜ定着しないのか?」という問題を検討すべきです。
今回市が行う「保育士就職フェア」は単なる保育士のあっせんであり、市が課題と認識しているはずの定着に対して効果を見出すとは考え難いです。
また、すでに神戸市では宿舎借上事業導入の検討を行っているという情報もあり、西宮市で事業を導入しなくても今後近隣市が導入を進めれば、保育士の方々はより条件の良い保育所へ流れてしまう可能性も否定できません。今後5年間で毎年約180名程度の保育需要を見込んでいるのであれば、先行して保育士確保に有効な事業を実施すべきだと考えます。
「保育士就職フェア」は全くダメだとは思っていません。
しかし、課題は「保育士の定着」なら「定着しない理由を検討すべき」です。
この問題を取り組むにあたって、私は市に様々な情報の提供をお願いしました。多忙な中、担当部局の方々は率先して資料の提供をして頂きましたが、市内保育所の保育士の雇用実態だけはあまり把握されていませんでした。一般質問での指摘は差し控えましたが、保育所の雇用問題を検討するために必要な情報が不足していると感じました。
あくまで一例ですが、保育士経験者の方のお話では、保育所での仕事はとてもハードで若い時期でしかできないという意見もあります。また、こどもを出産された保育士が再び保育所の現場へもどる場合、当然こどもを保育所に預けなければならず、自分のこどもを預けて他のこどもの保育を行うことに抵抗があるという意見もありました。こうした意見から、保育士という仕事は体力のある若い時期にしか務まらない短期的な職業であること、また出産された保育士にとって現場復帰が難しい仕事であるという考え方もできます。
確かに保育士の雇用条件や職場環境を市が改善するというのは非常に難しいと感じています。
保育士の給与や配置人数などさまざまな規定は、国が定める公定価格というもので決められているからです。市が支援できる手段は、今の私の知識の中では極めて限られたものであると感じています。しかし、検討すべき材料が不足している中で、保育士の確保問題について市はどれほどの検討を行ったのかも疑問です。「検討すべき材料が不足してる」なら「しっかりと課題解決に必要な情報を収集すべき」です。
根本的な問題解決を行わなければ、「保育士就職フェア」は膿んだ傷口をただ縫い合わせるだけの行為となってしまうかもしれません。保育士の方が定着して頂くために、その定着しない理由をしっかりと検証して、より効果的な支援策や対応策を実施することが重要であり、そのための猶予期間として宿舎借上事業の実施も有効ではないかと考えます。
次回はこどもの食の環境に関する問題について書きたいと思います。