【2018年3月定例会】市街化調整地区における農地の活用について


3月24日から苦楽園口駅近くにあるギャラリーウラン堂さんにて、たかいよしかずさんの個展が始まっています。ご承知の方も多いと思いますが、西宮市の観光キャラクター「みやたん」の生みの親です。1日にはご本人にも会えるということで、私も個展を見に行きました。お名刺をいただいた時に年齢をお聞きしたのですが、驚くほど見た目はお若いのが印象的でした。話をしても本当に気さくな方で、短い時間でしたが有意義な時間を過ごさせていただきました。個展は4月22日(土)まで開催しています。みやたん以外にもかわいいキャラクターに会えるので、是非足を運んで見てください!

今日は市街化調整地区における農地の活用についてです。

昭和30年代の高度経済成長の中で人口や産業の都市集中が急速に進み、都市の急速な発展の中での無秩序な開発による不良な市街地が形成され、住宅と工場の混在が生じることで都市環境の悪化等の弊害をもたらす結果となりました。 こうしたスプロール現象を防止し、都市の秩序ある発展を図るために、昭和43年に都市計画法の全面改正がなされ、その主要改正点の一つとして、計画区域を優先的かつ計画的に市街化すべき市街化区域と、当面市街化を抑制すべき市街化調整区域の区分が創設されました。

一方で市街化調整区域に指定された地区にお住いの住人、特に農家の方々はこの市街化調整区域によって多くの問題を抱えています。農業を営む方々にとって、高齢化と後継者不足の問題は深刻です。加えて高齢を理由に農業を辞めたくても
■市街化調整区域の土地は一般の市街化区域と比べて価格が低い
■また同地区は開発行為や建築行為を厳しく制限されており、農業以外の利用は困難
などの理由によって、農地を手放すことも容易ではありません。

こうした中、一部の農家の方からは市街化調整区域の解除を求める声も根強く存在しており、最近閣議決定された田園住居地域への区画変更を希望する声もあります。しかし私は市街化調整区域のままで農地を活用することを検討すべきだと考えます。他市では農業に介護プログラムを導入したり、障害者施設を運営するNPO法人と連携して障害のある方を施設外就労として受け入れを行うなど、農地の活用に取り組んでいます。こうした取り組みは、厚生労働省と農林水産省の協力によって活用可能な支援策として提案されているものです。また本市では高い市民農園の需要に応えきれていない現状が存在しますが、駐車場の整備など利用者への利便性を向上させることで、課題の解決を図ることも可能です。さらに市内に住むこどもたちの食育活動にも活かすことで、学校で実施されている食育活動をより効果的なものとすることも期待できます。

現在生産緑地の指定を受けた土地について、制度の期限となる30年以降に農地を所有する地主が指定を解除して、農地を手放すことが可能とされる、いわゆる2022年問題が懸念されています。このような問題を受けて平成28年5月に閣議決定された都市農業振興基本計画では、都市部にある農地をこれまでの「宅地化すべきもの」から、都市に「あるべきもの」ととらえることを明確化し、必要な施策の方向性を示しています。

以上の内容を踏まえ、私の質問内容と市の答弁は以下の通りです。

【質問】
市街化調整区域内の農地を活用する提案について、都市農業に関する行政課題や需要を踏まえ、市は農地活用にどのような期待をお持ちなのか?また特に営農意欲の高い農業者に対して、市としてどのような支援が可能であるとお考えか?さらにその支援策を受けるにあたり、必要な条件とは何か?加えて市街化調整区域で福祉農園や学童農園、市民農園を行うためには、活動拠点が必要と考えるがそれらの整備は可能なのか?最後に国が新たな用途地域として設定した田園住居地域について、鷲林寺地区の市街化調整区域へ導入を検討すべきとする地域の声に対して、市は市街化調整区域の見直しを検討する考えはあるのか?

【産業文化局長答弁】
都市農業につきましては、都市化の潮流の中にあっても、多様な機能を発揮しております。このことから、都市農業の安定的な継続と良好な都市環境の形成に資することを目的として、平成27年に「都市農業振興基本法」が制定されました。その法律で、地方公共団体は都市農業の振興に関する計画を定めるよう努めなければならないとされています。本市におきましても、次期西宮市農業振興計画を平成30年度中に策定する予定ですが、都市農業の振興に関する計画を含めて策定してまいります。この計画の中で、市街化調整区域の農地も対象として、新鮮な農作物の供給、良好な景観の形成、環境の保全、農業体験の場の提供、福祉や学校教育における活用など都市農業の持つ多面的な機能の活用について検討してまいります。

次に、営農意欲の高い農業者に対して、市としてどのような支援ができるのか、また、支援を受けるために必要な条件とは何か、についてお答えします。支援に関しては、県の事業として、収益性の高い農業の推進のため、JA等が園芸施設等を整備して新規就農者や規模を拡大したい農業者等へ貸与する経費に補助をする事業があります。また、農作物の地元消費を推進するため、農産物直売所の直売活動に必要な施設・備品等の導入に要する経費を支援する事業や、市民農園の整備・既存施設のレベルアップなどに対する支援などがあります。各地域での農業への取り組みに沿った事業の導入について、市としても情報提供や事務手続きなどの支援を行ってまいります。また、これらの県の施策では、事業主体の要件が、3戸以上の農業者が組織する団体や農業法人等となっていることが多いため、まず、人・農地プランの作成など地域の農業者の方で話し合っていただくことが必要です。そこで、農地集約や担い手など今後の地域の農業の方向性を定めていただき、団体や農業法人等を組織していただくことが望ましいと考えます。

次に、活動拠点の整備についてですが、一般的には、市街化調整区域は市街化を抑制する区域として位置付けられ、開発行為及び建築物の新築は厳しく制限されており、開発許可あるいは建築の許可を受けなければ建築物の新築を行うことはできません。しかし、市民農園の場合は、市民農園整備法に基づき、あらかじめ市が市民農園区画を指定し、市民農園の設定開設者が整備運営計画を作成して市の認定を受ける制度があります。その計画に従って行う一定の市民農園施設にかかる開発行為等については、都市計画法に基づく開発許可あるいは建築の許可が可能になります。

都市農業の推進のためには、都市部の限られた農地で収益性を高めることが重要です。また、都市農業の多面的な活用を促進することは、教育や福祉、防災といった行政課題を解決するためにも有効な手法であることから、来年度、都市農業振興計画を策定するにあたり、都市農業推進のための施策の方向性や具体的な施策について検討してまいります。

【都市局長答弁】
鷲林寺地区では、昭和60年に、市街化調整区域から市街化区域への編入をめざした「特定保留区域」を設定し、土地区画整理事業の実施に向けた具体的な取り組みが行われましたが、事業の実施には至らず、平成16年には、「特定保留区域」を解除した経緯がございます。議員お尋ねの「田園住居地域」は、平成29年の都市計画法の改正により新たに創設されたもので、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅からなる良好な住環境を保護するための用途地域ですが、定める地域は市街化区域内に限られるため、鷲林寺地区で定めるためには、新たに市街化区域へ編入する必要がございます。しかしながら、本市では、今後の人口減少社会における持続可能なまちづくりを実現するためには、公共交通に支えられた効率的な土地利用を誘導し、都市機能を集約したコンパクトなまちづくりを推進する必要があると考えております。したがいまして、市としましては、現段階において、鷲林寺地区に限らず、新たな市街化区域への編入を検討する考えはございません

一部地域の方々が希望する田園住居地域については「現段階において、鷲林寺地区に限らず、新たな市街化区域への編入を検討する考えはない」との答弁でした。そうなれば、市街化調整区域における農地活用はしっかりと前にすすめなければなりません。

しかし、市街化区域と市街化調整区域双方の農業が対象となっている中で、市街化調整区域ではその活用に必要とされる施設整備に制限が設けられているのは問題です。農地の活用を行うにあたって、活動の拠点は重要です。しかし、市街化調整区域は建物に関する厳しい制限が設けられており、場合によっては農地を活用する取り組みにも影響を及ぼす可能性があります。この課題に対して先ほどの答弁では、「市街化調整区域で、市民農園整備法に基づき、あらかじめ市が、市民農園区画を指定し、市民農園の設定開設者が整備運営計画を作成して市の認定を受け、整備運営計画に従って行う一定の市民農園施設にかかる開発行為等については、都市計画法に基づく開発許可及び建築許可が可能な行為となる」とありました。つまり目的が明確であれば、市は施設の整備を一定認めるものと理解しました。

農地の活用によって需要の高い市民農園への対応に期待が持てます。さらに都市農業の多面的な活用を促進することは、教育や福祉、防災といった行政課題を解決するためにも有効な手法であるとの答弁もありました。市街地から車で10分程度走らせた鷲林寺地区や船坂など北部地域の農地は、西宮市にとって活用が期待できる財産です。農地の活用は際立った先進事例も少なく、決して簡単な取り組みではありません。大事なことは農家の方々が外部からの人材を取り入れながら、新しい農業のあり方を構築することです。自立的に運営が可能な取り組みとなるためにも、必要な支援を行うよう要望しました。

今日はここまで。続きは次回に書きます。