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昨日は西宮市立芦原むつみ保育所・西宮市立むつみ児童館竣工式及び内覧会に参列しました。芦原保育所とむつみ児童館はそれぞれ施設老朽化耐震化が実施されていないことが課題となっていました。この度、この両施設を統合して建て替えを行う事によって、これら課題の解決を図りました。総工費は約9億円で、受け入れ最大定員数は210名ですが、こどもたちの安全を考慮して当面は市が過去に受け入れ実績のある150名受け入れを行います。新しい施設は確かに魅力的ですが、大事なことは保育の中身です。安全でこどもたちが安心して過ごせる環境となるよう、今後の運営についても注視して参ります。また市内では北夙川保育所や上之町保育所など、未だ耐震化が実施されていない施設も存在しています。こちらについても迅速に対応していただくよう、引き続き市に働きかけて参ります。


今日は入札に関する課題についてです。


本市では教育や福祉など公共サービスに必要な建物の整備を入札によって工事の契約を締結し、整備を行っています。しかしこの入札について2つの問題があると考えることから、今回は
①低入札価格調査の適用範囲の見直しについて
②入札不調に対する対応について
それぞれについて質問をしました。


まず低入札価格調査の適用範囲の見直しについてです。


平成29年12月13日に開催された教育こども常任委員会で、香櫨園小学校校舎改築工事に関する工事請負契約締結の議案が提出されました。しかし校舎の改築並びに、それに伴う電気・衛生・空調設備の工事を発注する入札の段階で、

①校舎改築工事は調査基準価格を下回る低入札価格調査を実施、結果価格が妥当と判断→調査基準価格よりも安く工事が確定

②空調工事は最低制限価格を下回る→最低制限価格制度を採用したため、調査は行われず改めて入札→最低制限価格を超える金額で契約が確定
と、結果が大きく分かれることとなりました。
*調査基準価格と最低制限価格は同じ算定式によって設定されています。


この結果を受けて、現在市が実施する低入札価格調査の適用範囲に課題があるのではないか、という疑問が生じたことが今回の質問に至った経緯です。

ではまず低入札価格調査制度と最低制限価格制度の仕組みを以下の図で説明します。

【資料1】低入札価格調査の説明
先ほどの香櫨園小学校の事例では、結果として安くなった①が低入札価格調査制度、高くなった②が最低制限価格制度を適用しています。


最低制限価格制度の場合、予定価格を超えたもの、あるいは最低制限価格を下回ったものが失格となります。予定価格と最低制限価格の間に適合する入札の中で最も安い金額が落札となり、図で言えばB社が落札者となります。


低入札価格調査制度の場合、最低基準価格は調査基準価格に改められます。先ほども説明したように、調査基準価格と最低制限価格は同じ算定式によって設定されています。低入札価格調査制度では、工事又は製造その他についての請負契約の入札において、あらかじめ設定した調査基準価格を下回る価格をもって入札した者があった場合、すぐに落札者を決定せず、低入札価格の調査を行ったうえで、当該契約の内容に適合した履行がなされるかどうかを決定します。調査の結果、『当該契約の内容に適合した履行がされない恐れがある』と認められる場合は次に低い価格で入札した者を落札者とします。この図で言えば、B社ではなくD社が落札者となります。

図の例が同一の工事案件であった場合、低入札価格調査制度の方が150万円安くなる結果となります。結果だけを見ると、低入札価格調査制度によってより安く工事契約が締結できたことは、市民の税金を活用する観点から効果的であるという見方もできます。

入札において、最低制限価格制度と低入札価格調査制度、どちらを用いるのかという判断は工事案件の価格によって決定されます。本市は低入札価格調査制度を平成23年に施行実施を行い、翌24年から本格的に導入しました。導入当時は調査を適用する工事案件の価格は1億円以上とされていましたが、平成27年度より適用範囲を5億円以上に引き上げています。香櫨園小学校の事例では、校舎改築工事は5億円以上だったため低入札価格調査制度を実施し、空調工事は5億円以下だったことから低入札価格調査制度を適用しなかったわけです。しかし、適用範囲が平成27年度以前の1億円以上だったとすれば、空調工事にも低入札価格調査が実施された可能性があります。

ではこの5億円以上という適用価格の設定は効果的なのか?という課題の検討について、次回詳細に書きたいと思います。今日はここまで。