【2018年3月定例会】新たな放課後居場所作り事業の実施について①


最近娘との間で流行っている遊び。テーマを決めて娘が絵を描き、その模写を私が横に描いて、妻にどちらの絵が娘の描いた絵か?を当ててもらうゲームです。皆さんはどちらが娘の絵かわかりますか?私も結構上手く模写してると思うのですが、100%当ててしまう妻はさすがだと思いました。

今日は新たな放課後居場所作り事業の実施についてです。

本市では保育所待機児童が深刻な問題となっていますが、同時に懸念すべきことは今後の小学校における留守家庭児童育成センターの受入課題についてです。

市内各留守家庭育成センター(以下育成センター)の将来推計によると、現状のままでは平成35年までに最大24の小学校で865人の待機児童が発生する可能性があります。今後はこの待機児童の受入が可能となる新たな育成センター施設の整備を進めなければなりません。

一方で新たな施設整備には
■今後待機児童が発生すると予測される小学校では、2施設以上の育成センターをすでに整備している小学校が半数以上存在することから、新たな整備場所の確保が困難となる可能性がある
■学校敷地内で整備が不可能な場合は敷地の外で整備しなければならないが、有効な土地の不足や安全面などの課題が生じる
■近年では入札不調が増加しており、育成センター施設の整備に必要な予算を確保しても計画通りに工事が着工できない恐れがある
■育成センターにおける指導員の確保が困難な傾向となっている
など多くの課題があります。

さらに先ほど述べた待機児童の推計はあくまで小学3年生までが対象となっており、4年生以上の高学年児童は含まれていません。また市が平成28年に保育所の待機児童対策として打ち出した1,500人の保育定員も反映されていません。今後は国が新たに推進する働き方改革幼児教育の無償化等によって、働く保護者の数はさらに増加することが懸念されます。こうした状況を踏まえると、市が示す待機児童の推計を大きく上回る可能性も存在することから、私は市が現在進めている育成センター整備による対応には、受け皿としての限界があるのではないかと危惧しています。

東京都江戸川区では、すくすくスクールという放課後居場所作り事業を実施しています。この事業は小学校に在籍する全ての児童を対象に登録を実施しており、運動場や体育館、図書室や一部の教室を解放して、居場所の提供や地域住民との協力による放課後事業などを区内全ての小学校で実施しています。平成29年度のすくすくスクール登録数は4月時点で12,374人となっており、これは江戸川区内の小学校全生徒数の約61.2%です。登録児童のうち、月額4,000円の学童クラブ登録料を支払うことで保育サービスを受けることが可能となります。サービスの内容は
①出欠の確認
②通常午後5時までの放課後事業が6時まで滞在可能
というシンプルなものです。(資料5参照)

この事業の大きな特徴は、国が定める放課後児童健全育成事業ではなく独自のルールに基づく事業であることです。これによって江戸川区では柔軟に児童を受け入れることが可能となり、待機児童は0となりました。各学校には規模や事業内容に応じて、児童福祉司の常勤・非常勤スタッフ合わせて3名から5名の人員を配置しています。また放課後事業では地域住民の協力も必要不可欠です。各学校に「放課後の校長先生」という位置付けでクラブマネージャーを1名配置しており、主に自治会長やPTA会長が就任します。また放課後事業の企画・運営を手助けする目的でサポートセンターを配置し、質の向上に努めています。江戸川区のすくすくスクール事業決算額は平成28年度で約8億550万円、これに常勤職員の人件費約7億円を加えると、1校あたりのコストは年間で約2120万円となります。

一方で、本市の育成センター管理運営事業経費は平成28年度決算額の総額で約9億4900万円ですが、国や県の補助金等を除く一般財源支出額は約3億7200万円となり、1校あたりのコストは約907万円、さらに全ての児童を対象とした子供の居場所づくり事業費はコーディネーターを配置し運動場や教室を常設的に解放した場合1校あたりのコストが約600万円、更に放課後子供教室の1校あたりの平均コスト約20万円を合わせると、1校あたりのコストは年間で約1,527万円となります。1校あたりのコストでは江戸川区の方が約600万円高くなっていますが、新たな施設整備を必要とせずに待機児童が0になることを考慮すれば、費用に見合う効果があるという見方もできます。

以上の内容を踏まえ、私の質問内容と市の答弁は以下の通りです。

【はまぐち質問】
留守家庭児童育成センターにおける今後の整備についての見通しや課題を市はどのようにお考えか?また放課後施策全体で考えたときに、あるべきあり方について市はどのようにお考えか?

【はまぐち質問】
留守家庭児童育成センターにおける待機児童の解消を最優先とした場合、新たな放課後事業の実施も検討すべきだと考えるが、市のお考えはどうか?

【当局答弁】
本市では市内41小学校区全てに留守家庭児童育成センター(以下、「育成センター」と言います。)を設置しております。育成センター利用申請数は年々増加傾向にあり、これは共働き世帯の増加などによる保育所ニーズの高まりが小学校入学と同時にそのまま育成センターのニーズに繋がっているものと考えております。今年度の育成センター利用児童数は約3,350名で、3年生以下の低学年児童の4人に1人という状況でございますが、5年後には4,500名を超え、3人に1人が利用申請するものとみております。現在、育成センター利用児童の将来推計を行うことにより、各育成センターの待機児童発生の見込みを一定把握し、計画的に受け入れ枠の拡大を行っております。今後の整備の見通しですが、学校の教室を改修することで待機解消が図れる場合もありますが、教育活動上問題なく利活用が可能な教室などがない場合には、学校敷地内あるいは学校敷地外において、施設を整備する必要がございます。整備をするうえでの課題は、まず建設費用がかかるということがございます。また、学校や教育委員会、地域のほか近隣との調整が必要であり、さらには、最近では工事の入札が不調になる例もあり、施設完成までにさらに時間を要する場合があることなどでございます。したがいまして、このように市があらたに施設を整備する手法だけでは今後急増する需要への対応が困難であると思われ、他の公共施設の利活用や民設民営の手法などを進めていく必要があると考えております。放課後における児童の居場所を確保する事業としましては、育成センターの他に、児童館や放課後子供教室、子供の居場所づくり事業などがございます。それぞれ実施形態や事業目的などに違いはございますが、これらの事業とも連携し、育成センターの待機児童対策にも繋がるよう取り組む必要があると考えております。

現在、学校施設などを活用し、放課後における安全で自由な遊び場や学びの場を提供する子供の居場所づくり事業の試行を進めておりますが、育成センターの待機児童の解消に向けては、このような全児童を対象にした事業との一体的な運用や更なる連携が有効であると考えております。しかしながら、子供の居場所づくり事業を育成センターの待機児童対策につなげるためには、学校から一旦帰宅せずに直接参加できること、事業実施時間の延長土曜日や長期休業期間中の開催など、現在、学校の決まりに合わせて実施している事業の運用方法を拡大する必要がございます。また、人員の配置など学校に負担のかからない実施体制についても検討するとともに、費用面について育成センターの整備を従来通りの方法で拡大する場合と比較検討する必要がございます。従いまして、議員ご指摘の新たな放課後事業のあり方については、江戸川区の事例など他都市の取組みも参考にしながら、本市の実情や費用対効果も踏まえて慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。

今日はここまで。続きは次回に書きます。